- チンニングスタンドで使えるのは背中だけではない
- 使い方によって腕や腹筋なども鍛えられるが若干デメリットもある
チンニングスタンドは、懸垂に代表されるように背中を鍛えるのに非常に効果的なアイテムの1つです。
ただ、懸垂のためだけに使うのは正直もったいなくて、色々な使い方を知っておくことで背中に限定されないトレーニングを行なうことができるようになるんですよ。
本記事では、チンニングスタンドを活用して鍛えることのできる部位についての解説とあわせて、トレーニングメニューや使用する上での注意点などについても解説しました。
まだチンニングスタンドを使っていない方や、用意したはいいけどイマイチ活用しきれていないなと感じる方は参考にしてみてください。
チンニングスタンドで鍛えるのに適した部位は主に3部位
まず、チンニングスタンドで鍛えることのできる部位としては大きく分けて3部位。
- 背中
- 二の腕
- 腹筋
基本的には懸垂することをメインとしたものなので、背中がメインにはなるのですが背中だけではないのがチンニングスタンドのいいところ。
特に最近のモデルに関しては懸垂バー以外にも様々な機能が搭載されていることもあって、幅広く対応ができるようになってきており、1台での汎用性がかなり高め。
そんなチンニングスタンドで鍛えることのできる3部位について、まとめました。
メインで使えるのは背中
チンニングスタンドと言えば冒頭でもお伝えしたように、懸垂することをメインとした器具です。
懸垂は背中の中でも、広背筋と呼ばれる部位への刺激が強く、背中を広くしていくことを考えている場合はかなり有効なトレーニング。
他にも僧帽筋と呼ばれる首から肩にかけての筋肉にもアプローチでき、背中全体のサイズ感を上げていくことも可能です。
ただ、筋力によってそもそも懸垂ができないというデメリットもあったりします。とはいえサポートするためのグッズなどもありますので、まだ懸垂ができないという方でも取り入れる価値は十分にありますよ。
二の腕や腹筋にも使えるが、若干デメリットもある
背中以外の部位として考えるなら、二の腕や腹筋についてもチンニングスタンドを利用することができます。
なるべく背中の筋肉の関与を減らすように動作するメニューを取り入れることで、二の腕に負荷をかけることもできますし、バーにつかまった状態で行なうことのできる腹筋のトレーニングというのもありますしね。
ただ、二の腕に関してはバリエーションに乏しいのがネックとなっており、あまり利用する機会はないかもしれません。とはいえ、腹筋に関しては床で行なうトレーニングよりも強度が高くなるメニューがあるためメインとして活用することも十分に可能と言えます。
チンニングスタンドを活用したトレーニングメニュー
上で解説した点を踏まえて、実際に取り組むと効果的なトレーニングメニューとしては、以下の5種目が挙げられます。
- プルアップ
- チンアップ
- ハンギングレッグレイズ
- ワイパー
- ディップス
チンニングスタンドの種類によってはできないものもあるので、全てやるべきとはいいませんがどのトレーニングもしっかりと筋肉を鍛えることのできる優秀なメニューです。
鍛えられる部位もそれぞれ違ってきますので、自身が強化していきたいところをメインに取り組んでみてください。
プルアップ
背中をガッツリ鍛えたい場合に取り組みたいメニューはプルアップ。
いわゆる懸垂運動のことをプルアップと言いますが、背中を鍛えるためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
▼プルアップ▼
- チンニングスタンド上部のバーに、肩幅より少し広いくらいの手幅にしつつ順手で掴まる。
- 胸を張ることを意識しつつ、肘を胴体側に引き下げるイメージで身体を引き上げる。
- 胸がバーに最大限近づいたところで、力を抜かないようにゆっくりと身体を下ろす。
- 肘が伸び切る少し手前まで身体が下がったら、再度身体を引き上げる。
シンプルな運動ですが、自身の身体を引き上げるという点から強度は比較的高いトレーニングと言えます。
▼プルアップのポイント▼
- バーを掴む手は必ず順手にして、親指で掴まないようにする
- 手の力で引き上げるのではなく、背中の力で引き上げる意識を持つ
- 顔ではなく、胸をバーに近づけるように動作する
- 身体を下ろすときは力を抜かない
親指で掴まない(サムレスグリップ)というのは、握りこむことで前腕や腕の筋肉の関与が大きくなることを防ぐ役割があります。
バーを掴むというよりは、他の4本指でフックのようにバーに引っ掛けて動作するイメージでしょうか。
併せて、掴んでいる手を身体に近づけるというよりは、肘をやや斜め下方に引き下げるように動かすことで、背中に効いている感覚も分かりやすくなります。
あと、身体を引き上げた際に結構多いのが顎など顔をバーに近づけるように動作するパターンですが、これではあまり効いているとは言えません。顔ではなく、張った状態の胸をバーにぶつけるイメージで身体を上げることがポイント。(実際にぶつけなくてもいいですけども…)
そのためプルアップの動作を横から見ると分かるのですが、身体は床に対して垂直にはならずやや後方に沿ったような状態になります。
ここまで意識しておけば、十分背中への刺激は与えることができますが、初心者に関してはそもそも身体を引き上げることが難しい場合も結構多かったり。
その場合は、ジャンプで身体を上げて下ろすときにしっかり鍛えていくようにするネガティブ動作をメインに取り組むといいでしょう。
身体を下ろすときに力をなるべく抜かずに、筋肉に負荷をかけつづけることで少しずつ筋力もついてきますよ。
チンアップ
チンアップはプルアップの変形ともいえるトレーニングメニュー。
特徴としては、二の腕に負荷がかかりやすいことから、背中のトレーニングとしてよりも腕を鍛えるためのメニューとして取り入れられることが多いです。
動作そのものに大きな違いはないため、明確に違う点だけまとめていくと以下のような感じ。
- バーを掴む手は逆手で親指も使用する
- 手幅は肩幅と同じくらいかやや狭めにする
- 身体はなるべく垂直に上げていく
バーを掴むときの手については、逆手の方が二の腕に対しての刺激が大きくなります。
特に上腕二頭筋は、肘を最大限たたんだ状態で力が最大化するため、より身体を引き付けることのできる逆手の方が効果的。
手幅についても同様の理由で、肩幅よりも手幅を広げてしまうと腕の向きに対して真っすぐ肘を曲げることが難しくなるため、腕への刺激を大きくするなら狭くするのがベター。
身体を持ち上げる時については、胸は張りすぎない程度で真上に上げた腕を真下に引き下ろすようなイメージで取り組めば腕の力だけで身体を持ち上げる状態になります。
なるべく背中の筋肉を使わずに身体を持ち上げることができれば、十分二の腕のトレーニングとして活用できますよ。
>>>【力こぶが柔らかい方向け】上腕二頭筋のダンベル筋トレを解説
ハンギングレッグレイズ
チンニングスタンドで腹筋を行なう場合、基本となるメニューとなるのがハンギングレッグレイズ。
動作はシンプルで、チンニングスタンドの上部バーに掴まった状態で、足を伸ばしたまま水平方向まで持ち上げて下ろすのを繰り返していきます。
そもそもレッグレイズについて知らない方もいるかもしれませんので簡単に解説しておくとこんな感じ。
▼レッグレイズ▼
- 床に仰向けに横になる
- 両脚を揃えて伸ばした状態で上にあげる
- 床から60度くらいのところまで上げたら、ゆっくり下ろす
- 床スレスレのところまで足を下ろしたら再び足を上げていく
実際にやってみると結構キツイ運動になっているレッグレイズですが、難点としては足を真上まで上げてしまうと負荷が抜けてしまうというところ。(足が床と垂直になると重力の負荷がかからなくなるため)
それと比較して、ハンギングレッグレイズはチンニングスタンドのバーに掴まった状態で足を上げていくため、床で行なうレッグレイズよりもさらに負荷は大きくなります。
特に腹筋を最大限収縮させることのできる60度~90度くらいまで足を上げた時に、重力による負荷が最大化することも強度を上げるポイント。(逆に初動は負荷が少な目になる)
身体の柔軟性によっては、足を伸ばした状態で取り組むのが難しい場合もありますが、その場合は膝を曲げて行うこと(タック)でも負荷はある程度かけられるため、おすすめのメニューですね。
ワイパー
ハンギングレッグレイズがしっかりできるようになってきたら取り組みたいのが、ワイパーと呼ばれるメニュー。
動作としては、バーに掴まった状態から足を上げてつま先が上を向いた状態にし、足を左右に振っていきます。
その足の動きが車のワイパーに似ているため、そのような名前になっているんですね。
ハンギングレッグレイズに比べると、左右に足を振ることでねじれの負荷がかかるため、腹直筋だけでなく腹斜筋にもしっかり刺激を加えていくことができ、シャープな腹筋を作り上げていきたいのであれば取り入れる価値のあるメニューとなっています。
難点としては、かなりの高強度になるためそもそもできるようになるまで割と時間がかかることでしょうか…。
ディップス
チンニングスタンドでは、ディップスができるモデルもあったりします。腰の辺りに2本のバーが平行についていれば、それを活用しましょう。
やり方はシンプルで、以下のように動作すればOK。
▼ディップス▼
- 2本のディップスバーを左右それぞれの手で上から掴む
- 身体を浮かせて、腕が真下に伸びた状態になったらスタートポジション
- 身体を少し前傾させた状態にしつつ、肘を曲げて身体を下ろす
- 肘が90度近くまで曲がる程度に身体が下がったら、腕の力で身体を押し上げる
ディップスは、二の腕の中でも裏側にあたる上腕三頭筋(力こぶの裏側)と、大胸筋の下部を鍛えるのに効果が高いトレーニングとなっています。
案外誤解があるのですが、二の腕を太く仕上げていきたい場合、上腕二頭筋よりも上腕三頭筋を鍛える方が早かったりするんですよね。
体重をフルに負荷として利用するため、初めのうちは身体を押し上げることも難しいかもしれませんが、その場合はゆっくり下ろして一度床に着地してしまうといったネガティブ動作をメインにしても問題ありません。
扱う重量に応じて筋肉は大きく強力になっていくものですので、続けていけば身体を押し上げることもできるようになりますよ。
チンニングスタンドのトレーニングの注意点
チンニングスタンドで取り組めるメニューは数多いですが、トレーニングするにあたって注意しておきたいポイントが4つあります。
本記事で紹介する注意点としては、どのメニューに関しても同様に考えることができるものとなっており、基本的なことのみまとめました。
実際にトレーニングを取り組んでいくのであれば、確実に押さえておきたいことばかりなのでぜひ参考にしてみてください。
反動はつけない
トレーニングの際、徹底しておきたいのが反動をつけないということ。
いわゆるチーティングとストリクトという考え方になりますが、簡単にまとめると以下のようになります。
- チーティング=反動や主導筋以外を用いて、限界以上の回数や重量を扱うこと
- ストリクト=なるべく反動を利用せず、自身の筋力に応じた方法で鍛えること
チーティングが完全にダメだというわけではありませんが、筋トレの経験に則って意図的に行う場合でなければ逆効果になることもあるのが、おすすめできない理由。というより、そもそもストリクトにトレーニングができない人がチーティングをするべきではないんですよね。
効率が悪くなることもありますし、鍛えている筋肉以外の筋肉を使用することでケガのリスクが上がったりすることもあります。
多くの回数や、高重量を扱いたくなる気持ちも分かりますが、まずは反動をなるべく抑えてストリクトにトレーニングができるようにフォームを固めていきましょう。
鍛える部位への意識を忘れないようにする
チンニングスタンドのトレーニングに限らずですが、鍛えている部位への意識はしっかりしておくようにしましょう。
筋トレ用語的にはマッスルマインドコネクションと呼ばれたりもしますが、平たく言えば筋肉に刺激が与えられていると感覚的に理解することが非常に重要となっています。
「ここに効かせよう」と考えてトレーニングを行なうことで、フォームの崩れなどにも気づくことができたり、他の部位に負荷がかかりすぎていることが分かるようになったりといいことばかり。
併せて、メインで鍛える部位以外の関与を減らすためにパワーグリップなどを活用するというのもいい方法で、背中のトレーニングに力を入れていくのであれば用意しておいて損はありません。
今どこの筋肉に刺激を与えているのか?ということを常に意識して取り組むようにすることが、効率的に鍛えていく近道になりますよ。
強度に応じて補助などを活用する
チンニングスタンドで代表的なトレーニングメニューというと、懸垂になりますがそもそも懸垂ができない方もいますよね。(私も実際そうでしたから…)
そういったときは、上でも少し触れたネガティブ動作(身体をジャンプで上げて下ろすときに力を入れるなど)を取り入れるのもいいですが、エクササイズバンドなどで補助するというのも効果的な方法です。
バンドの張力を利用することで、身体を持ち上げる時にアシストする効果を得ることができるため通常の懸垂ができない方でも割と楽にできるようになったり。
補助グッズを利用することは、決して恥ずかしいことではありませんし、継続して鍛えていけばトレーニングの強度は徐々に上がっていくものですので、ぜひ活用していただきたいですね。
耐荷重の十分なモデルで行なう
チンニングスタンドは調べてみると結構色々なメーカーが発売しています。
シンプルに上部バーだけのタイプもあれば、パラレルグリップ(手のひらが向かい合うように握れるバー)が付いている物やディップスバーが付けられている物など、種類も様々。
そんな中でも重要なポイントなのが耐荷重で、何kgの重さまで耐えられるかという基準になるものですが、多いのは150kgくらい。
基本的に150kgあれば、特段問題なく使用することはできますが気を付けておきたいのは多少反動が付いたとき。反動がつくと、自身の体重以上の負荷がかかってしまうため、場合によっては転倒などの原因にもなったりします。
そういったことにならないように、滑り止めのマットを敷くなどの対策をしたり、元々の耐荷重がしっかりあるものをチョイスするといったことにも気を付けておくようにしましょう。
チンニングスタンドは1台で様々な鍛え方に対応できる
本記事ではチンニングスタンドを利用して鍛えることのできる部位や、トレーニングメニューについて解説しました。
- チンニングスタンドは主に背中を鍛えられるが、二の腕や腹筋のトレーニングにも利用できる
- 体重を負荷として扱うため、初心者はアシストできるグッズを活用することも大事
今回紹介したように、チンニングスタンドは一台あるだけで多くのトレーニングに活用することが可能になる効果的なグッズと言えます。
自重トレーニングだけでは強度が足りなくなったり、鍛えることが難しい部位にも対応できたりしますので、より幅広く身体を鍛え上げていきたいと考えているのであれば用意しておく価値は十分。
全てのメニューを取り入れることは難しいかもしれませんが、もしチンニングスタンドでトレーニングを考えているのであれば、ぜひともチャレンジしてみてください。